姉の許婚に嫁入りします~エリート脳外科医は身代わり妻に最愛を注ぐ~
姉は真っ青な顔で声を震わせた。ひとりきりの状況であの症状に襲われたら、自力で救急差を呼ぶのは難しかったかもしれない。今夜、禎人さんと食事に行ったのは不幸中の幸いだ。
そこへ、再び待合室のドアが開き、白衣姿の雅貴さんがものすごい形相で駆けつけてくる。
「百花!」
「雅貴さん?」
すぐそばに姉がいるのに、いきなり強く抱きしめられて目を丸くした。
なにがなんだかわからず、彼の腕の中で硬直する。
「救急センターから百花が搬送されてくると聞いて、心臓が止まるかと思った」
「えっ? 私はただの付き添いです」
「ああ……俺の勘違いでよかった」
雅貴さんは少し震えていた。いつも余裕たっぷりで、何事にも動じない彼がこんなふうになるなんて。そのくらい私を想ってくれているのだろうか。
勘違いだったとはいえ、胸が熱くなる。
「雅貴さん……」
こんな状況で不謹慎だと思っても、彼への愛情が溢れ出す。
「禎人さんは今、救急外来の医師が診ていて、頭部のCT撮影をおこなっている。おそらく脳の血管のどこかに障害が出ているのだろう」
雅貴さんはゆっくりと私から体を離しながら、姉に現状を報告した。
「脳の血管が……」
姉は呆然とつぶやく。
そこへ、再び待合室のドアが開き、白衣姿の雅貴さんがものすごい形相で駆けつけてくる。
「百花!」
「雅貴さん?」
すぐそばに姉がいるのに、いきなり強く抱きしめられて目を丸くした。
なにがなんだかわからず、彼の腕の中で硬直する。
「救急センターから百花が搬送されてくると聞いて、心臓が止まるかと思った」
「えっ? 私はただの付き添いです」
「ああ……俺の勘違いでよかった」
雅貴さんは少し震えていた。いつも余裕たっぷりで、何事にも動じない彼がこんなふうになるなんて。そのくらい私を想ってくれているのだろうか。
勘違いだったとはいえ、胸が熱くなる。
「雅貴さん……」
こんな状況で不謹慎だと思っても、彼への愛情が溢れ出す。
「禎人さんは今、救急外来の医師が診ていて、頭部のCT撮影をおこなっている。おそらく脳の血管のどこかに障害が出ているのだろう」
雅貴さんはゆっくりと私から体を離しながら、姉に現状を報告した。
「脳の血管が……」
姉は呆然とつぶやく。