シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
「え? え、だって……そんなこと一言も」
「言わなきゃだめか。君が好きだ。好きだ好きだ好きだ」
「ちょ、ちょっと待って!」

 明人さんが壊れた人形みたいに真顔で「好き」を連呼するので猛烈に恥ずかしくなり、私は慌てて立ち上がって彼を制止しようとした。けど、彼はさらにヒートアップした。

「波留が可愛い。めちゃくちゃ可愛い。好きすぎて死ぬ。君のためなら何でもやる」

 何これこんな熱烈な告白されるなんて思わなかったよ。
 だけど、明人さんの発言はさらに過熱していった。

「君の声も外見も中身も細胞にいたるまで好きだ。君の全部知りたい。いっそ解剖したいくらい」
「ま、待ってそれは、怖いです明人さん」
「俺は本気だよ。君のすべてを知りたいんだ」

 ま、まさか私、捌かれるの!?
 魚みたいに。

 想像したらぞくぞくして、そんな自分もちょっと変だなって思った。
 だって恐怖心なんて欠片もなくて、明人さんになら捌かれてもいいかなって思ったんだから。

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