シェフな夫のおうちごはん~最強スパダリ旦那さまに捕まりました~
 明人さんは口もとを押さえてふっと笑い洩らした。
 その表情に私は安堵して、もっと自分の気持ちを言いたくなった。

「私と一緒にいるときの明人さんはとっても優しくてちょっと子どもっぽいところがあって、でもすっごく甘くてちょっと俺様でそんなあなたが本当に好き」

 明人さんは口もとを押さえたまま、ほんのり頬を赤く染めた。
 ああ、そういう意外な反応も好きだなあ。

「私以外に見せない顔なら、私は明人さんの特別ってことだよね」

 他の誰が何と言おうと、芦田さんがどれだけ自慢げに彼のことを話しても、明人さんのこの姿は妻の私しか知らないはず。

「不安になるとしたら、明人さんがいつか私に飽きてしまったら冷たくなるのかなってことです」
「そうしたら、そのときはまた少し違った君に興味を持つかもしれない。誰でも食事の好みが変わるのと同様に、いつまでも同じ感覚ではいられない。だからアレンジして楽しむだろう。例えば10年後には違う家族の形で過ごしているかもしれないしね」
「そ、それって離婚して……」
「なんでそうなるんだよ。家族が増えているっていう意味なんだけど」
「えっ……」

 家族が増えている?

 そっか。そういう可能性だってあるよね。
 そのことを考えたら急に照れくさくなってきた。

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