師匠兼親友で俺を救ってくれた人は人類の宿敵でした。

兄貴の部屋で

部屋で着替えてアレンと一緒に兄貴の部屋の前まで来た
「ルイ、入らないのか?」

「だって……怖いし…」

「まだ言ってるのか…」

決心のつかない俺を呆れたようにアレンは兄貴の部屋のドアをノックした

「失礼致します。ブライザー様ルイーファシ様を連れてまいりました。」

そう声をかけると部屋の中から兄貴がすぐに出てきた

「ありがとな。
アングレム、お前も一緒に中に入れ」

「失礼致します。」

「ルイやっと来たのね」

「姉貴はもう居たのか」

「ちょっと前に着いてたのよ
ダンセル、下がって下がっていいわ
それとしばらくここの近くに人をよこさないで用があればアングレムを向かわせるわ」

「承知いたしました。では失礼させていただきます。」

俺たちより先に来て紅茶などの準備をしていたらしいダンセルはそう言って部屋を出ててった

「ルイもアングレムもそっちに座ったらどう?」

姉貴はそう言って自分と兄貴が座っている対面のソファーを指さした
俺は言われるがまま兄貴たちに対面しているソファーに座った

「いえ、私はこのままで結構ですので」

アレンはあくまで俺に着いて来た者だからなのか座ろうとはしなかった

「アレン、昔みたいでいいから
お前にそういう風にされると変な気分になるんだよ」

「ではそうさせていただきます。」

「外れてないじゃない」

「ごめんごめん…で、どうして俺までここに呼びれたの?」

「ちょっと聞きたいことがあってな」

「聞きたいこと?」

「アレンはルイの専属でしょ?だからアカデミーでどういうふうに過ごしているかとか聞いたことがあるんじゃないかと思ってね」

嫌な予感がした
これまでそんな話なんて一度も無かった
普段関わって来ないような2人がなんでそんなことを今更聞くのか。しかも俺がアカデミーを卒業する年になって
アカデミーでの俺は勇者の息子が出来損ない…なんて、入学直後ぐらいから言われ、噂はずっと流れているだろうしそれが本当かなんて今更確かめたいのだろうか?
それとも親父たちに聞いてくるよう頼まれた?

俺には兄貴たちが知りたいことが全くと言って分からなかった

「アカデミーで?
そういった類の話はあんまり聞いたことはないな…」

「そうか…
ルイ、今日あったようなことはいつもあるのか?」

「今日あったこと?」

思い当たる節はあまりない
兄貴たちが見ていたと思う剣術の実技の授業の時のことだろうけどさっぱりだ

ジープロディにいつも負けていることなのか
俺の戦闘スタイルなのか
それとも既に諦めてしまっている俺自身のことなのか

「あったことって何?」

結局思い当たるものがなく質問を質問で返してしまった
その返しが悪かったのか兄貴と姉貴2人の眉間にぐっとシワがよった

「心当たりがないのか?」

「多分ないんだと思う」

「……授業を周りで見ていた人たちの言葉や視線のことよ…
ルイ、あれはいつもなの?それとも今日たまたまそうだっただけなの?」

なんだそんなことか…そう思ったと同時に疑問が浮かぶ
兄貴たちは知らないのか?
俺がアカデミーに入ってからずっと流れている噂のことを

「あんなのいつもだよ
兄貴たちだって知ってるだろ?
"出来損ないの勇者の息子"
俺がそう呼ばれてることぐらいさ 」

「「っ!?」」

俺がそういうと兄貴たちは酷く驚いたような傷ついたような表情を浮かべた

なんで兄貴たちがそんな顔するんだよ…

ふと隣を見るとアレンも兄貴たちと同じような顔をしていたその顔は徐々に怒りのこもった顔になっていった
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