愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
「だけど、結局皆さんにやってもらうことは私が戻る前と一緒じゃないですか」
 
時短勤務、残業なしで龍之介の秘書業務のすべてをやることはできない。千賀からの提案で有紗は、彼らに仕事を振り分ける役割をしている。

「全然違うよ。やっぱりまとめる人がいるのといないのとでは。真山さんと副社長て息ぴったりだし、二年のブランクがあったなんてもうわからないくらい」

「なら、よかったです。でも、子供たちのこともありますから、これから迷惑かけると思います……」
 
全力で働けてやっとちょっと役に立つかどうかだ。

子供たちのことがあると、役に立つどころか、迷惑になるだろう。

「わかってて来てもらったんだから、気にしなくて大丈夫だよ。二年の間にお子さんを生んでたのは驚きだけど。辞める時、そんなそぶり一切なかったのに」

「ええ、まぁ……。急に決まって……」
 
有紗は曖昧に答えた。
 
都合上、子供がいることを隠すわけにはいかない。

でも父親について知られるわけにはいかないから、とりあえずパートナーがいるということになっている。

「それに、私ももうすぐ結婚するから、真山さんが時短勤務しながら子育てしてる実例があるのはありがたいのよ」

「そうなんですね、おめでとうございます」
 
有紗が言うと彼女はにっこりと笑った。

「ねえ、共働きだったら家事育児はぱっつり半分こ?」

「え? えーと……」
 
有紗は口ごもる。
 
パートナーがいるという設定だとこういう時に困ってしまう。

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