愛の街〜内緒で双子を生んだのに、孤高の副社長に捕まりました〜
「もちろん、私の方はそれを望んでいる。私は君に私の秘書でいてほしい」
「はい、副社長の秘書でいさせてください」
有紗はホッと息を吐く。
龍之介がふっと笑った。
「それにしても、そんな風に慌てる君ははじめて見るな。どんなにイレギュラーな予定が入っても動じないのに」
「す、すみません……私、必死で……」
「いや、笑って申し訳ない。だが私も安心したよ。ああ言ったはいいが、本当のところ君に辞められたらどうしようかと思っていた。私の秘書は君しか考えられない。それなのにあんな提案をしてしまったのは」
そこで彼は言葉を切って、頭をかいた。
「さっき君が同期に言われていた場面を見て、少し動揺してしまったんだな。君につらい思いをさせていたのだと知って。だが今後もこのようなことがあったら、我慢せずに言ってくれ、できるだけのことはする」
クセのある黒い髪を風になびかせて笑う彼に、有紗の胸が高鳴った。
『動揺してしまった』という言葉と、会社での顔とは違う少し砕けた態度。
有紗はまるで素顔の彼を垣間見たような気分になる。
心の奥底に閉じ込めて、考えないようにしていた彼に対する熱い想いが走り出すのを感じていた。
さっき言いかけて、すんでのところで飲み込んだ言葉が脳裏に浮かぶ。
——これからも、あなたのために働きたい。
彼のそばで、孤独を抱えながら闘う彼を精一杯支えたい。
——もうこの気持ちは止められない。
有紗はそう感じていた。
「はい、副社長の秘書でいさせてください」
有紗はホッと息を吐く。
龍之介がふっと笑った。
「それにしても、そんな風に慌てる君ははじめて見るな。どんなにイレギュラーな予定が入っても動じないのに」
「す、すみません……私、必死で……」
「いや、笑って申し訳ない。だが私も安心したよ。ああ言ったはいいが、本当のところ君に辞められたらどうしようかと思っていた。私の秘書は君しか考えられない。それなのにあんな提案をしてしまったのは」
そこで彼は言葉を切って、頭をかいた。
「さっき君が同期に言われていた場面を見て、少し動揺してしまったんだな。君につらい思いをさせていたのだと知って。だが今後もこのようなことがあったら、我慢せずに言ってくれ、できるだけのことはする」
クセのある黒い髪を風になびかせて笑う彼に、有紗の胸が高鳴った。
『動揺してしまった』という言葉と、会社での顔とは違う少し砕けた態度。
有紗はまるで素顔の彼を垣間見たような気分になる。
心の奥底に閉じ込めて、考えないようにしていた彼に対する熱い想いが走り出すのを感じていた。
さっき言いかけて、すんでのところで飲み込んだ言葉が脳裏に浮かぶ。
——これからも、あなたのために働きたい。
彼のそばで、孤独を抱えながら闘う彼を精一杯支えたい。
——もうこの気持ちは止められない。
有紗はそう感じていた。