御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
そういった付き合いは、たとえビジネス上の関係と言えども、家族ぐるみになることも珍しくない。

龍之介とて出自を武器に彼らに近づいたのだから。
 
そこで出会った彼らの娘たちに好意を持たれたのは、予想外だった。迷惑だとは思わなかったが、興味は湧かなかった。
 
すべてきっぱりと断ったが、タブロイド誌の紙面を賑わせることになってしまった。

少し不自然なそれらの記事に彼女たちが関係しているのは明らかだった。

本来は撮られるはずのない場所での写真まで流出していたのだから。
 
プライドを傷つけられた腹いせか、既成事実を作ろうとしたのか、あるいは彼女たちにとってはスクープもステイタスのうちなのか。

とにかくそうやって龍之介は、本来の自分とはまったく違う人物像に作り上げられてしまったのである。
 
それでも龍之介はそれを強く否定しなかった。日本でもワイドショーを賑わしていると聞かされた後も、放っておいたのだ。
 
一番には、彼女たちの父親との付き合いを大事にしたかったから。

それ以上に龍之介自身が、ゴシップ的な話に興味がなかったからだ。
 
プライドが高く男をアクセサリーとしか見ていない女性たちに囲まれて、女性そのものに失望していたとも言える。

もはや結婚も恋愛もするつもりになれなかったから、どう言われてもかまわない。
 
だから今こうして記者に追いかけ回されているのも、すべては自分の責任だ。それ自体は今さらどうとも思わない。
 
——だが有紗とのことについては……。
 
そんなことを考えながら、龍之介は道ゆく人を眺める。今日は一段と暖かく、もうコートを脱いでいる人もいる。

街路樹の芽が綻び、街は春を迎える準備を整えていた。
 
——あの夜も、今と同じ季節だった。
 
龍之介は、自分と有紗との間に起こった出来事に思いを馳せた。
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