御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
龍之介が、有紗を自分の秘書にと望んだのは、言うまでもなく彼女が有能だったから。

誰かをサポートする方が自分には合っているという的確な自己分析にも好感を持った。

……だが本当は、それだけではないもうひとつの理由があった。
 
彼女が自分に男として興味を示さなかったという点だ。
 
龍之介は普段から、社員の能力を男女の区別なく評価している。プロジェクトのメンバーは、能力のみを考慮して抜擢する。
 
だが自己の第一秘書については別だった。
 
自分の容姿と社会的地位が女性の興味を引くことは、嫌というほど自覚している。海外駐在時代は、それで厄介ごとに巻き込まれたのだから。
 
社内の人間、ましてや秘書に男として好意を持たれたら、面倒なことになるのは目に見えていた。

そういった意味で、秘書については、女性を避ける方がいい。内心ではそう思っていた。
 
だがそれを凌駕するほど彼女の能力と評判の高さは魅力的だった。

女性だからという一点のみを理由に、候補から外すのは惜しいくらいに。
 
だからあの日、直接話をしてみることにしたのだ。
 
あの時、彼女は一貫して龍之介個人に対して興味を持たなかった。それどころかどこか迷惑そうにすら思えた。

それでいて、仕事ぶりを褒めた時は目を輝かせて喜んだ。
 
広大な砂漠の中で、一粒の砂金を見つけた気分だった。
 
龍之介は、彼女を手放すことに難色を示す課長の浜田を説き伏せて、有紗を秘書室へ異動させた。
 
はたして彼女は、期待以上の働きをした。
 
慣れない秘書という仕事に、はじめは戸惑ってはいたものの、一カ月もすれば慣れ、千賀と遜色ない仕事をするようになった。
 
龍之介に対する態度は、当初と変わらず、どこか冷淡で距離のあるまま。

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