御曹司と再会したら、愛され双子ママになりまして~身を引いたのに一途に迫られています~【極甘婚シリーズ】
自分と息子たちの写真だ。隠し撮りされたものだろう。コートを着てベビーカーを押している。

「君に子供がいると知ったのは偶然だ。花田文具を買収する過程で社員の雇用条件についての話し合いをしている際に、気がついた。こそこそ調べるような真似をして申し訳ない。だが、放っておけなかった」
 
龍之介が真っ直ぐな目で有紗を見た。
 
頬がカァッと熱くなる。
 
本来なら、かつての秘書に子供がいても、放っておけないなんてことはない。

彼が気にするのは、間違いなル・メイユールでの一夜があったからだ。

「父親は、私だな?」

「つっ……!」
 
思ってもみなかった展開に有紗の頭はパニックで否定も肯定もできなかった。

子供たちのことを知られてはいけないと肝に命じて来たけれど、まさかすでに彼が知っているとは思わなかった。

「これは……、ち、違います」
 
か弱い声しか出なかったが、有紗は一応否定する。否定するしかないのだ。

彼に迷惑をかけるわけにいかなから。

「ふ、副社長には、関係ありません……!」
 
動揺する有紗とは対照的に、龍之介はあくまでも冷静だった。

「ではこの子たちの父親はだれだ? 相手はどこにいったんだ? 君は結婚していない。同じ時期に私とは別に恋人がいたということか?」

「あ……それは……」
 
龍之介の追求に、有紗はなにも答えられない。

双子のことを知られないようにとあれこれ対策してきたが、バレた時の言い訳は一切考えていなかった。

「私……」

「大丈夫だ。本当のことを話しても、君たちの不利になることは絶対にないと約束する」
 
龍之介が言い切った。
 
その言葉に、だから知られたくないのだ、と有紗は思う。
 
彼はどこまでも誠実で真っ直ぐな人だから、たとえ誰に非難されようとも責任を取ろうとするだろう。

けれどそれでは、彼の妻を傷つけることになってしまう。
 
とはいえ、もう逃げ道はないように思えた。

彼を納得させるには、別の父親を見つけるか、DNA鑑定でもするしかない。でもそのどちらもできないのだから。
 
目を伏せて有紗が無言で頷くと、龍之介が深い息を吐いた。

「か、勝手に生んで申し訳ありません」
 
胸の痛みを感じながら有紗が反射的に謝ると、龍之介が眉を寄せた。

< 88 / 178 >

この作品をシェア

pagetop