断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「む、魔石カイロか。あいにくわたしは携帯していない。代わりにこの手で温めてやろう」
「いえ、シュン様、もう十分温まりましたから……」

 って言ってるだろうが、手を取って撫でさするなっ。
 ってか、いつの間にか生徒会メンバーに囲まれてるし。

(ユイナはいないか……)

 自分、ちょっとほっとしてる。それがなんだか悔しんだけど。

 ユイナが王子ルートに入った今、これから好感度上げイベントが目白押しで起こるらしい。
 中でも今回メインとなるのが遭難イベントだ。

 いなくなったヒロインを王子が探しに行って、吹雪で閉じ込められたふたりが一晩を共にするって筋書き。

 で、わたしにはユイナを誘い出すっていう大事な役割があるわけなんだけど。
 これって悪役令嬢がヒロインを陥れる策略だから、やりたくないって言うのが本当のところ。

 でもそうも言ってらんない。ユイナと山田の距離を近づけるための重要イベントだし。
 悪役令嬢の初仕事ってことで、ここはワキしめてやり切らなくちゃ。

「な、ハナコ、魔石冷めたら真っ先に俺に言うんだぞ?」
「いえマサト先輩、俺の姉ですから自分がやります」
「いや、それなら俺が適任だろう。火の魔力は得意中の得意だからな」

 考え込んでたら、周りでバトル発生してるし。
 健太はともかくとして、マサトとダンジュウロウの好感度が上がりっぱなしなのがナゾすぎる。

 あ、なんだか未希の視線が冷ややかなんですけど。
 まさかこれもヒロインイベントだったりして?

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