断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第26話 つり橋効果は恋の呪文

 かじかむ手はとっくに感覚がなくなった。
 耳も鼻も頬もどこもかしこも痛くて、なんなら息吸っても痛いくらい。

(なんだか眠くなってきたし……)

 このままホントに死んじゃうのかな。
 ここにきてツケが回ってきたんだろうか。ゲームのシナリオ、無理に捻じ曲げようなんてしてきたから。

 人生ってなんなん?
 理不尽なことばっかでさ。
 これじゃ生まれ変わった意味ないじゃん。悪役令嬢に生まれた時点で、負け組確定してたってわけ?

 ああ、頭ぼんやりしてきたよ。なんかお花畑が見えてきそう。
 くやしいな。前世で長生きできなかった分、今度こそ面白おかしく生きてきたかったのに。

(あ、あそこ、かまくらっぽいクボミがある)

 人ひとりくらい入れそうだ。アレって確か、中があったかいんだよね? 

「やっぱりちょっとあったかいかも……」

 風が当たらないだけでこんなに違うんだ。
 しゃがみ込んで小さく身を丸めた。薄暗い中、吹雪の吹き荒れる音だけが聞こえてくる。
 みんながくれた魔石カイロ、あってよかった。一晩は魔力の効果が続くから、凍え死ぬことは避けられそう。

(でももし、朝になっても誰も助けに来なかったら?)

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