断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「大丈夫か、ハナコ」
「シュン王子、回復魔法をかけたとはいえ、ハナコ様はまだ本調子ではないご様子ですわ」
「ならばわたしがずっとついていよう」
「いえ、ここはわたくしにお任せを。医療系の魔法ならわたくしの方が上手に扱えますから」
「いやしかし……」

 どさくさに紛れて手を握ってくんな。そんな山田を振り切って、壁に掛けられたレリーフゴテゴテの丸鏡まで一目散にかけ寄った。

「なによコレ……」

 かすれた声で鏡の向こうの自分と見つめ合う。
 そこには未希と同じバカでかいリボンを髪に飾るイカレタ姿のわたしがいた。そのときズキッとこめかみが痛んだ。

 長谷川ゆいなに突き落とされ、命を落とした森華子。ゆいなそっくりの女生徒と、彼女を助けようとして階段を転げ落ちたハナコ・モッリ。

 そのシーンが重なるように、ふたり分の人生が一気に頭に流れ込んでくる。

「うそ……わたしハナコに生まれ変わったってわけ?」

(ここはヤーマダ王国、そしてわたしはフランク学園に通う公爵令嬢ハナコ・モッリ……)

 むしろ森華子として生きていた前世を、ハナコが思い出したというのが正解なのだろう。

「ハナコ、まだ横になっていた方が……」
「……シュン王子」

 振り向けばそこには王子の山田。奥には伯爵令嬢ジュリエッタがいて、その顔はどう見ても親友の未希だった。

 いまだ混乱から抜けきれない。

 てか、生まれ変わったのにどうしてみんな同じ顔??


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