断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「それは大丈夫。ほら、俺ってさ、夏休みの間ユイナのことずっと見張ってたじゃない?」

 あ、クソ暑い中、イチャつきイベントをひとり寂しくのぞき見してたヤツね。

「ユイナが魅了の魔法を使った嫌疑をかけられているのは知ってたからさ、それを逆手(さかて)に取ってみた」
「逆手に? って、どういうこと?」
「自分もユイナに変な魔法使われているじゃないかって疑って、その件で独自に調べてたって言ったらさ、あっさりソレを信じてくれたって感じ」
「あ……ゲームの強制力が働いてるなんて、そんなこと説明できないものね」

 ほっとして息をついた。

「ならよかったわ。でもわたくしは? 事情聴取とか受けなくてよかったのかしら?」
「そこはシュン王子が上手く動いてくれたみたい。姉上がユイナと接触するのは学園の中だけだったし。むしろ姉上の乗る馬車の前に転移して逃げ込んだのは、ユイナの策略だったんじゃないかって疑われてる」
「そうだったの……」

 なんだかユイナの立場、ますますヤバくなってない?

「ねぇ、わたくしがヒロインイベントをこなした分、ユイナに悪役令嬢(わたくし)のイベントが回っていってる……なんてこと、ないわよね?」
「……どうだろう。悪役令嬢が拘束されるイベントなんて、ゲームにはなかったと思うんだけど」

 わたしの風向きが変わってラッキーってよろこんでたら、今度はユイナの雲行きがあやしいんですけど。

 まったくこの世界、一体ぜんたいどうなってんの!?
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