断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「わぁっ、おいしそう~。さっすが公爵家、いっただっきまぁ~す♡」
「待ていっ」

 殺気を込めてティッシュを飛ばすと、弾丸のごとくユイナの握るフォークを強くはじいた。
 うをっ、何たる快挙……!
 ってか、そんなこと言ってる場合じゃないっ。

「え~、華子先輩のけちぃ。せっかく健太くんがゆいなのために焼いてくれたのにぃ」

 焼いたのはうちのコックじゃっ。
 ぶーぶー言ってるユイナを無視して、ぎりっと健太を睨みつけた。

「今すぐ呼んできて」
「え? 誰を?」
「未希に決まってるでしょ!」
「こんな時間に? いや、無理だって」
「転移魔法があんでしょうがっ」

 血走った目のまま肩で息をしていると、どうどうと健太がなだめてきやがった。

「落ち着いて、姉ちゃん」
「これが落ち着いていられるかっ」
「いきなり部屋に行ったりしたら、俺、未希姉ぇに殺されるって」
「知らないわよっ。無理でもなんでも今すぐ連れてきなさいっ!」
「わ、分かったよ」

 わたしの剣幕に押されたのか、目の前から健太がぱっといなくなった。

「あ、健太くん、気をつけてね~」

 のんきにひらひらと手を振ったユイナと、ふたり部屋に残されて。

 ってか、こんな裏切りってある!?
 何がどうしたらこうなるんだっつうの!
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