断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 起きるタイミングを見失ってたら、囁き合っていた令嬢たちが一斉に口をつぐんだ。

 ん? なんかあったのかな?
 みんなからやけに緊張感が伝わって来るんですけど。

「しっ、大きな声を立てないでくれ」

 げっこの声、山田じゃない?
 ひとが寝こけてるからって、しめしめって近づいて来たんか。

 起きたら顔合わせて会話しなきゃなんないし、寝顔を見られたままなのもなんかシャクだし。

 追い払うか、タヌキ寝入りを続けるか。
 どっちにするか迷っていたら、体にふわっと毛布みたいな布がかけられた。

「体を冷やすのは良くないからな。目覚めたら、このブランケットは君たちがかけたことにしておいてくれ」
「仰せのままに、王子殿下」

 誰かがそう返事して。
 みんなの緊張感が解けたのを感じて、山田がいなくなったことが分かった。
 多分、転移魔法で突然現れたんだな。

 ってか、まだわたしの動向見張ってたのか。
 あきらめが悪すぎて、ため息しか出ないんですけど。

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