断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第45話 よってたかって責めないで

「よぉ、ハナコ! 昨日ぶり!」

 ひとり歩く廊下でマサトに呼び止められて。

「マサト……あなた、生徒会で忙しいのでしょう? どうして毎日わたくしのところにやってくるのよ」
「俺がいたって仕事増やすだけだし。この前も重要な書類捨てちまってダンジュウロウに怒られた」

 ああ、マサトってば肉体労働専門だったっけ。
 だとしてもわたしにまとわりつく理由にならないんじゃ?

「なぁ、ハナコ。シュン王子も反省してるみたいだぞ? そろそろ仲直りしたっていいんじゃないか?」
「仲直りってあなた……」

 子供のケンカじゃないんだから。
 こっちは公衆の面前でファーストキスを奪われたのよ?
 それをわたしが駄々こねてるみたいに言うなんて。

「あっ、そうだ! この前渡した俺の召喚札、毎日持ち歩いてるか?」
「召喚札? あれなら部屋に置いてあるけど」
「なんでだよ。いざというときに呼べないんじゃ意味ないだろ? 明日からちゃんと持って来いよな」

 いや、マサトを呼び出して、わたしに何の得があるってのよ。
 それにそもそもアレは、山田()けにって手渡してきたんじゃないの?

「じゃ、俺行くわ。また明日な!」

 言いたいことだけ言うと、マサトはあっという間に廊下の向こうに消えて行った。

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