断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「なんなの、あれ」
「ハナコ嬢……」

 ふぁっ、びびびびっくりしたっ。
 なんだダンジュウロウか。いきなり背後に立たないでよ。
 影が薄すぎて幽霊でも現れたかと思ったじゃない。

「驚かせたか? すまない、たまたま姿を見かけたもので」
「ごきげんよ……ろしくはなさそうですわね、ダンジュウロウ様」

 なんか顔色が悪いって言うか、死相が出てそうなやつれ具合なんですけど。
 あ、そっか。ダンジュウロウ、いま山田の代わりに生徒会仕切ってるんだっけ。
 そんな状態になるほどやらなきゃならないことが山積みなのかな? 生徒会って言っても、たかだか学生が執り行う範囲のことなんじゃ。

「最近あまり眠れていなくてな」
「まぁ、それはたいへん。睡眠魔法でもお使いになれば?」
「いや、いまは寝ている場合ではないんだ。責任ある仕事を任されていてな……」

 ああ、寝る時間が確保できないってわけか。
 ダンジュウロウは真面目キャラだから、手を抜いたり他人任せにできないんだろうな。
 で、何でもかんでもひとりで抱え込んで、パンクしちゃう損な性分。

「……ハナコ嬢」
「なんですの?」
「あ、いや、何でもない」

 ふいと顔を逸らすダンジュウロウ。
 その割には何か言いたげに見えるんですけど?

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