断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「これまでの努力の褒美タイムと思うて、学園生活は自由に過ごすことを許したのじゃが。結果ハナコ嬢にはすまないことをしてしまったのぅ」
「リュシアン様……」
「シュンには学生としての節度は保つよう言っておいたんじゃがな。若さゆえの衝動を少々甘く見ておったわい」

 事情は呑み込めたけど、それはリュシアン様のせいじゃないし。
 どう見ても、意味もなくわたしに執着する山田に問題ありって感じじゃない?

「とはいえ、あの日のシュンの行いにはそれなりに理由があっての。だからと言って許されるものではないが、話を聞いた上で結論を出してもらえまいか」

 理由はゲームの強制力を振り切るためって知ってるけど。

 ユイナにキスしたくなくって舞台から飛び降りたんだから、その段階でオッケーにしとくこともできたよね。何もわたしのファーストキス、奪わなくても済んだんじゃ?

 そう思うとさ、山田の言い分聞いたとしても、わたしの意思は変わりっこない。
 でも山田と完全に決別できるなら、さっさと話し合いを終わらせた方がいいに決まってる。

(一度未希と作戦会議しないと……)

 山田にいいように丸め込まれるのだけは絶対に回避したい。問題は未希が親身に相談に乗ってくれるかなんだけど。

「先ほどの条件は守るゆえ、話し合いに応じてくれるな?」
「はい、リュシアン様」
「というわけだ、シュン」

 後ろを振り返ったリュシアン様。うれしそうにビスキュイがしっぽを振って。
 そこにいきなり山田が転移魔法で現れた。
 すごく緊張した顔で、山田はまっすぐわたしを見つめてくる。

 えっ? もしかして、話し合いって今からするのっ!?
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