断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ある意味山田も、ゲームの世界に巻き込まれた被害者のひとりなんだ。
 だとしたらハナコとの因縁も、きっちり決着つけて先に進むのがいちばんだよね。
 だって山田はもうこの国の王子だ。日本に住んでいたころの御曹司じゃないんだもの。

「結果、わたくしがシュン様を受け入れられなかったとしても、シュン様はそれで納得していただけますのね?」
「……ああ、そうなっては欲しくないが、そのときはわたしも潔くハナコを諦めよう」
「今の言葉、わしも確かに聞かせてもらったぞ。シュンよ、男に二言はないな?」

 いつの間にかそこにいたリュシアン様に、山田は静かにうなずいた。

「そのためにはハナコ嬢、今しばらくの間、シュンと自然に接してやってくれんか」

 リュシアン様の言葉に、山田がじっと見つめてきて。
 絆されないって決めたけど、終わらせるためならちょっとくらい妥協してあげたってかまわないよね?

「あの時のような真似はなさらないと、そうお約束してくださいますか?」
「もちろんだ。この名にかけて絶対に守ると誓おう」

 選択権を握ってるのはこっちだもん。どう考えたってこの勝負、わたしの方が断然有利だよね。
 冬休みを目前にして、そんなふうに気楽に考えていたんだけど。
 このあと山田の追い込みに苦しめられることになるなんて……。

 卒業まで、数か月。
 なにがなんでも逃げ切るのよ、華子!
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