断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
第二章 やんわりと嫌われましょう

第8話 わたくしの魔力はポンコツ

 王子である山田を、前世のようにこっぴどく振ることはできない。
 下手したら不敬罪に問われてデッドエンドなんてこともあり得るし。

(とにかく怒らせない程度に嫌われる努力をしよう)

 今日見舞いに来る山田を思うと憂うつになるけど。
 かえっていい機会に恵まれたと、ここは前向きに捉えることにした。

 未希にも同席を求めたが、用事があるとかであっさり断られてしまった。
 親友のピンチだよ? もうちょっとやさしくしてほすぃ。

 仕方なく山田に嫌われ作戦を、一睡もせずにひとりで練った。
 おかげで寝不足、目の下にクマができてるし。
 ま、病人の見舞いだから、結果オーライということにしておこう。

(作戦その一、ファッションセンスが微妙!)

 手始めに持ってる服の中で、いちばん野暮(やぼ)ったいものを選ぶことにする。
 普段顔を合わせるときは学園の制服がデフォルトだ。クソダサい私服で出迎えれば、山田も引くこと請け合いだ。

 しかしこれはメイドたちの手によってあっさり却下。
 王子を迎えるべく、公爵令嬢にふさわしい装いへと即チェンジされた。ぴえん。

(作戦その二、お部屋が汚部屋!)

 私室がごみ屋敷と化していれば、ドン引くこと間違いなしだ。

 しかしこれも使用人たちによってあっさり阻止。
 汚すそばから清掃魔法かけてくんなっ。

 まぁ、そりゃそうだよね。
 公爵家として王子を出迎えるんだもの。粗相があってはなりませんものね。

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