断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 こっちに椅子を引き寄せることもなく、山田はわたしから離れた席に座った。
 うんうん、距離感、適切でいい感じ。やればちゃんとできるじゃないの。

「冬休みの間、ハナコは何か予定はあるのか?」
「いえ、特には。わたくし寒いのは苦手ですから、家でのんびり過ごすつもりですわ」
「ユイナはケンタ様とデートいっぱいするんです。今らかどこ行くかふたりで計画立てて」
「あら、たのしそう。でもユイナ、自分のことわたくしと言わなくてはね?」
「はぁい、ハナコお姉様。わたくし気をつけまぁす」

 いいぞ、ゆいな。
 その調子で話題をどんどん自分中心に持ってって。

「シュン王子は何して過ごすんですかぁ?」
「年末にイタリーノ国から大使が来る予定でな。その件でスケジュールはほぼ埋まってしまっている」

 王子ともなると休みも公務でつぶれて大変そうだね。
 冬休みの間は顔合わさずに済みそうだから、わたし的にはラッキーだけど。

「そういったわけで、ハナコを城に招くのはしばらく無理そうだ」
「お気遣いなさらずですわ。きっとビスキュイも分かってくれます」

 お城に行く目的は、あくまでビスキュイ目当てってことにしておかないと。
 っていうか、行くと約束した覚えはひとつもないんデスが?

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