断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 大きめの声を出したら、司書の人にジロってにらまれちゃった。とんだとばっちりだよ。
 思わず頬をふくらませたら、ロレンツォのヤツ、またくくっと笑ってるし。
 ああもう、ひとのことバカにしてっ。この嫌味な笑い方、ホント好きになれないんですけどっ。

 顔がいいだけに余計腹立つわ。顔と性格、山田と逆だったらよかったのに。
 お、我ながらいい考え。ロレンツォの顔で山田のスペックあれば、まだ許容範囲のイケメンなんじゃ?

「こんな本で魔法が使えるようになるのか?」

 ロレンツォがわたしが見ていた参考書をぺらぺらとめくっている。
 ってか、いつの間に。子供向け読んでて悪うございましたねっ。

「魔法は素養が重要なのですわ。魔力のない人間はそもそも魔法を使えません」
「そのようだな。研究者はいても、イタリーノで扱えるものはいないからな」

 魔力ってヤーマダ国民特有のものみたいで。だからこそ大昔に魔法使い狩りで戦争が起きたって話だし。
 ヤーマダ国では魔力が強い方が人間的に優秀って考え方が根付いてる。わたしが馬鹿にされないのは、社会的ヒエラルキーが高いってだけだしね。
 それでも魔力ハラスメントは世の中に横行してる。魔力のないロレンツォも、何かとイヤな思いしてきたのかも?

「ヤーマダ国でも魔力の大きさは人それぞれですわ。わたくしなど魔法と言ってもこれくらしかできませんし」

 手をかざしてティッシュを一枚引き寄せる。
 これだけはやり慣れてるから、何も考えなくてもできちゃうって感じ。

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