断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
(魔法の勉強だけは真面目にやっといてくれたらよかったのに)

 せっかく魔法がある世界に転生したのに、できることと言えば物を引き寄せるだけ。しかもうす~いティッシュ限定だなんて、我ながら情けなさ過ぎるんですけど。

「器用なものだな」
「ひゃっ、ろ、ロレンツォさまっ!?」

 ちょっ、いつから(ソコ)に座ってたのよっ。
 びっくりしすぎて淑女にあるまじき変な声出ちゃったじゃんっ。

「いらしてたのなら、お声をかけてくださればよかったのに」
「真剣なところを邪魔するのは悪いと思ってな」

 なにその謙虚なセリフ。
 今までは他人のことなんて、気にもとめてなかったくせに。

「しつこい男は嫌われるんだろう?」

 くくっと笑ってわたしの髪に手を伸ばしてくる。
 だからそういうトコロがしつこいんだってば。

「ここは図書館ですわ。場所を考えてくださいませんこと?」
「ということは場所を考えれば触れてもいいということだな?」
「そ、それは……揚げ足を取って来ないでくださいませ!」

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