断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
第八章 真実はいつもひとつとは限らない

第65話 だってアレは山田、って、アレは誰!?

 リュシアン様の宣言が響き渡って。

(わたし、勝てたの……?)

 限界を越えた体が崩れ落ちて、走り込んできたビスキュイが支えてくれた。

「本当に僅差(きんさ)じゃったが。見事であったぞ、ハナコ嬢」
「あり……がとう……ございます、リュシアンさま」

 いまだに信じられなくて、夢見心地で言葉を返した。
 なんだかあたまが働かないや。これ、完全に魔力切れっぽいな。
 それでもじわじわとうれしさがこみ上げてきて。
 わたし、山田に勝ったんだ。国でもっとも優秀って言われてる、魔力最強のあの山田に。

 目を向けると、手を付いたままの山田は芝生の上でうなだれていた。見事にorzの姿勢って感じ。
 で、芝生をにらみつけてなんか手探りしてる。
 あ、よく見えないから眼鏡を探してるんだな。
 それを見かねたのか、ビスキュイが見つけた眼鏡をくわえていって。

「おじい様、助かります」
「シュンよ。それはビスキュイじゃ」
「これは失礼を。ビスキュイ、礼を言うぞ」

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