断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
「……ありがとう、ハナコ」

 耳元で聞こえる声はやっぱり少し震えてて。もしかして山田泣いているの?
 髪をそっとなでてあげると、さらにきつく抱きしめられた。

「ハナコ……ハナコ……」

 切なそうに呼ばれる名前の中に、小さく嗚咽(おえつ)が混じってる。
 そこまでの思いを向けられて、なんか(ほだ)されそうになっちゃったけど。
 ここで血迷ったら、今までの努力が水の泡になっちゃうし。
 受け入れられなくてホントごめんね。だってアナタは山田だから。やっぱりわたし、瓶底眼鏡じゃムリなんだ。

「シュン様、わたくしそろそろ戻りませんと……」

 終わりが見えない抱擁(ほうよう)にやんわりと肩を押した。
 鼻をすすって少しだけ体を離した山田、眼鏡の下から涙がしたたり落ちてるし。

「すまない、ハナコ。最後に顔を良く見せてくれないか?」

 もうさっき最後って言ったよね?
 ってか、返事待たずに顔を近づけるなっ。

「ダメだ、眼鏡が曇ってよく見えん」

 浄化魔法でも使うのかと思ったら、山田はパッと瓶底眼鏡をはずした。
 うをっ、いきなりの極道顔、しかもこんなに至近距離……!
 いやだっ、その顔で睨まないでっ。

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