断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~

第69話 ハナコ、走る

 転移した先は野外会場のはしっこだった。
 風の中に硝煙(しょうえん)の臭いが混じってる。

(この煙、やっぱり演出のスモークじゃない)

 式典は画面で見たよりも混乱してて。
 人の流れが出口の方へと向かってる。係の誘導を無視して、みんな押し合いながら進んでるし。

「ケンタはユイナ探して警備と誘導手伝ってきて」
「この広い会場の中を!? 俺、ユイナがどこ担当とか詳しく聞いてないし」
「そこは愛のパワーでなんとかしなさい!」
「って、姉上はどこに行く気だよ!」
「シュン様のところに決まってるでしょう!」

 人の波をかき分けて、中央目指し進んでいった。
 どぅんっと轟音が鳴り響く。あちこちで悲鳴が湧き上がった。
 爆風に耳を塞いでしゃがみ込みそうになる。そこを何とか踏みとどまって、まだ遠いステージに目を向けた。

「シュン様は……!?」

 人だかりの向こう、周囲に指示を出してる山田が見えた。
 よかった、無事だ。
 でもそのすぐ横には、イタリーノ大使が立っていて。

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