断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ふたりが帰って静かになった病室で。
 薬を飲んだせいか、うつらうつらと眠くなってくる。

 山田とはあれ以来顔を合わせてないんだ。あっちもテロ騒ぎの後処理でいろいろと忙しいらしくって。
 時々見舞いには来てくれてるみたい。だけどわたしが寝ちゃってる時間ばっかりで。
 寝顔とか見られてるの、なんか恥ずかしいな。

(わたしだって山田の顔、見たいのに……)

 なにコレ、恋する乙女みたいな思考回路じゃない?
 自分でも笑っちゃうし。
 そんなことを思いながら、ウトウトとまどろんで。

『……こさん……はなこさん……お願い……いて……かないで……』

 だぁれ? わたしを呼ぶひとは。
 心地いい声。聞き慣れてるのに、もっとずっと聞いていたい。

 薄く目を開けると、そこには瓶底眼鏡のおじいちゃんが座ってた。
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