断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ホント未希の言う通りだよ。
 百年かけて築いてきた平和を、自分たちの欲望を満たすためだけに簡単に乱そうなんてさ。

「ねぇ健太、今回の騒ぎの首謀者ってまだ捕まってないの?」
「それが捕まったのは末端ばかりで、上層部の尻尾が上手く掴めないんだってさ」
「そうなんだ……」
「ヤーマダ国としては、この騒ぎで一気にカタをつけたかったみたいだけどね」
「わたしがしたことって余計なことだったのかなぁ」

 暴動が起こるのを知ってたなら、山田だって十分警戒してたはず。わたしが飛び出したおかげで余計に騒ぎを大きくしちゃったんじゃ。

「それはないよ、姉ちゃん。大使がスパイだって誰も気づいてなかったって話だし」
「そうよ華子。あんたがいなかったら王子は確実に撃たれてたって」
「姉ちゃんだったからよかったってわけじゃないけどさ、もしもシュン王子が撃たれてたらマジで戦争になってたかもよ?」
「言えるわね。いくらイタリーノ国も捜査に協力してたからって、大使がやらかしたんじゃ宣戦布告に等しいもの」
「そう言ってもらえると、わたしも撃たれた甲斐があったよ。あたた……」

 痛み止めが切れてきたかな? 
 なんだかまた熱が上がってきた感じ。

「ほら、バカ言ってないでおとなしく横になってなさい。回復魔法にも限界があるんだから」
「うん、分かってる」

 魔法はあくまで初期治療のサポートだから、残りは自分の生命力で回復するしかないんだよね。

< 380 / 413 >

この作品をシェア

pagetop