断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 ああ、そうでしたわ。
 わたくしは地球という異世界の、日本という島国に住む、「森華子」になったのでしたわね。
 どうしてこんな不思議なことに。
 初めはそう思ったけれど。

 わたくしは高貴な公爵令嬢、ハナコ・モッリ。
 これは神が与えた試練ですのね。
 子どもころ読んだ本に、そんな話があったから。

 ぼんやりとした意識の中で、自分の奥にある華子の記憶を手繰り寄せる。
 大丈夫。この世界での振る舞い方も、ちゃんとわたくしは覚えてる。

「意識が戻って一週間よ。山田君、わたしもう、死んだりしないから」
「うん、でも俺、心配で……このまま華子さんが目を覚まさないんじゃないかって……」

 声を詰まらせて、唇を細かく震わせる。
 シュン様は再び大粒の涙をこぼし始めた。
 もう、しょうのないひと。
 この世界のあなたも、わたくしがいないと何もできないなんて。

「大丈夫。ずっとそばにいてあげる」

 そう言うと、シュン様はますます大声をあげて泣きだしてしまった。

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