断罪ざまぁも冴えない王子もお断り!~せっかく公爵令嬢に生まれ変わったので、自分好みのイケメン見つけて幸せ目指すことにしました~
 はっ、何わたし語ってんの!? 急になんの脈略もないこと言っちゃってるしっ。

「おほほほっ、それに空想の世界に(ひた)るのも良いものですわよ。読んでいる間は楽しい時間を過ごせるんですもの。小説ってほんとにスバラシイですわぁ」

 い、今のでごまかされてくれたよね?
 わたし、君の内情とかまったく知らないから安心して!

 結局、手にした一冊だけ借りて図書館を出た。
 もうここでいいって言ったのに、ダンジュウロウってば迎えの馬車に乗り込むまで付き合ってくれたんだよね。
 ほんと、真面目なヤツだ。

 でもなんだか生温かい目で見送られたのが、ちょっとだけ気になったんだけど……。

「って言うことがあってね、未希はどう思う?」
「……あんた、やっぱりバカでしょう?」
「なしてっ!?」

 刺すような冷たい視線に、涙目で抗議した。

「だってダンジュウロウルートの悪役はダンジュウロウ兄なんでしょ? そりゃ攻略対象に迂闊(うかつ)に近寄ったのはマズかったかもだけど……」
「そういうこと言ってんじゃないわ。なんであんたがフラグ立ててんのって言ってるの」
「フラグ? 一体なんの?」
「ダンジュウロウとのよ。その図書館イベント、本来ならヒロイン相手に起きるヤツだから」
「何それっ、そんなイベントあるなんて聞いてない!」

 未希から聞いたイベントは、頑張ってすべて頭に入れてあるし。

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