クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
「母さん、愛菜。また外商呼んだのか?」
眉を吊り上げた雄也さんに、愛菜さんはツンとそっぽを向く。
「いいじゃない。それにこれ、その人の結婚式にあたしが着る振袖の反物よ? その人のために着飾ってあげようっていうの」
愛菜さんは意に介す様子もなく、反物選びに夢中になっている。お義母さんもアクセサリー選びに集中していて、雄也さんの言葉にもほとんど反応しない。
「あらこれ素敵ねえ」
「さすが奥様。お目が高い。こちら天然真珠の……」
私は「ただいま戻りました」と頭を下げてリビングを出た。返事はない。
「ゆっくり休んで、海雪」
わざわざ廊下に出て声をかけてくれた雄也さんに微笑み、離れに戻った。
お風呂に入りながらぼんやりと今日一日を思い返す。
ドリンクを買ってくれたこと。結婚式を私の希望に沿ったものにしようとしてくれていること。初めて助手席に乗ったこと……至近距離にあった、整った端整な眉目。
思い出してぼっと頬に熱がこもる。なにこれ!
私は慌てて湯舟から上がり、冷ためのシャワーを浴びる。
あまり意識しちゃだめだ、とぼんやり思う。
もしも天城さんに恋してしまったら、きっと辛いだろう。
だって、決して返ってくるような感情ではないのだから。
尊敬と……それから、少しの憧れくらいが彼に抱く感情としてちょうどいいのじゃないかと思った。
彼のほうも、私に恋心なんて生涯抱かないだろう。なにしろあれだけ完璧な人なのだ。なにも好き好んで私なんかに恋する必要はない。
ただ、婚約者として、それから将来の妻として大切にしていこうという気持ちが垣間見える。
たとえさまざまな思惑の絡む政略結婚だからであろうと、大切にしようとしてくれているその気持ちがとても嬉しい。
だから、私も彼を医師として、夫として尊敬し、支え合っていけたらいいなと思う。恋愛感情なんてなくとも、家族として愛し合っていけたなら、それに勝る幸福はないに違いない。
翌朝も穏やかな晴天だった。母屋の食堂に朝の挨拶に行くと、父と雄也さんしかいなかった。まあたいていはこんな感じだ。
お義母さんと愛菜さんはいつもお昼くらいにならないと起きてこない。
昨夜も外商さんが帰ったあと、どこかにでかけたようだったから、きっと朝帰りだったのだろう。
「おはようございます」
眉を吊り上げた雄也さんに、愛菜さんはツンとそっぽを向く。
「いいじゃない。それにこれ、その人の結婚式にあたしが着る振袖の反物よ? その人のために着飾ってあげようっていうの」
愛菜さんは意に介す様子もなく、反物選びに夢中になっている。お義母さんもアクセサリー選びに集中していて、雄也さんの言葉にもほとんど反応しない。
「あらこれ素敵ねえ」
「さすが奥様。お目が高い。こちら天然真珠の……」
私は「ただいま戻りました」と頭を下げてリビングを出た。返事はない。
「ゆっくり休んで、海雪」
わざわざ廊下に出て声をかけてくれた雄也さんに微笑み、離れに戻った。
お風呂に入りながらぼんやりと今日一日を思い返す。
ドリンクを買ってくれたこと。結婚式を私の希望に沿ったものにしようとしてくれていること。初めて助手席に乗ったこと……至近距離にあった、整った端整な眉目。
思い出してぼっと頬に熱がこもる。なにこれ!
私は慌てて湯舟から上がり、冷ためのシャワーを浴びる。
あまり意識しちゃだめだ、とぼんやり思う。
もしも天城さんに恋してしまったら、きっと辛いだろう。
だって、決して返ってくるような感情ではないのだから。
尊敬と……それから、少しの憧れくらいが彼に抱く感情としてちょうどいいのじゃないかと思った。
彼のほうも、私に恋心なんて生涯抱かないだろう。なにしろあれだけ完璧な人なのだ。なにも好き好んで私なんかに恋する必要はない。
ただ、婚約者として、それから将来の妻として大切にしていこうという気持ちが垣間見える。
たとえさまざまな思惑の絡む政略結婚だからであろうと、大切にしようとしてくれているその気持ちがとても嬉しい。
だから、私も彼を医師として、夫として尊敬し、支え合っていけたらいいなと思う。恋愛感情なんてなくとも、家族として愛し合っていけたなら、それに勝る幸福はないに違いない。
翌朝も穏やかな晴天だった。母屋の食堂に朝の挨拶に行くと、父と雄也さんしかいなかった。まあたいていはこんな感じだ。
お義母さんと愛菜さんはいつもお昼くらいにならないと起きてこない。
昨夜も外商さんが帰ったあと、どこかにでかけたようだったから、きっと朝帰りだったのだろう。
「おはようございます」