クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
ぽつりとつぶやきクローゼットの服を眺めた。
こんなことになるとわかっていたら、おそらく「高尾家の家格」のためにふさわしい服装を用意されていたのだろうけれど……なにしろ、急だ。
葉山に行くと聞かされても、お出かけどころか学校行事以外で遠出したことのない私は戸惑ってしまう。
昨日の天城さんについて考える。
シンプルだけど人目を引く彼の横にいてもおかしくないだろう服装について四苦八苦しながらコーディネートする。
結局黒のⅤネックのロングワンピースにした。
七分丈で肌が見えるから、黒でもそこまで重くならない。
メイクはいつも通り……のはずなのに、細かくアイラインを引き直してしまうのはなぜだろう。チークをいれる位置を迷うのはどうして。
鏡の中の自分を見つめる。あんなにこだわったのに、出来上がったのはいつも通りの自分だった。つい笑ってしまう。
家を出て、昨日送ってもらった公園まで向かう。
ここで待ち合わせしようと昨日決めておいたのだ。葉山まで行くのに横浜まで来てもらうと遠回りだから、横須賀まで行きますと言ったのだけれど、断られた。
公園が見えてくる。すでに天城さんの車は道路の端に止まっていたため、いそいで駆け寄った。
「す、すみませんお待たせしました」
「いや、俺が早く来すぎた」
そう言う彼の横、昨日も乗った助手席に座る。天城さんはシンプルなカットソーに濃いジーンズを合わせていた。
彼がちらっとこちらを気にするそぶりを見せたので、急いでシートベルトをしめる。
天城さんはじっとそれを見ていた。
やっぱりなんか、観察されている気分。
天城さんが車を発進させる。横浜から葉山までは一時間ほどだろうと思う。
しばらく無言の空間が続く。
住宅街を抜け、車は高速道路に向かっていた。
「葉山に着いたら、まずは昼食をと思っているんだが」
唐突なかんじで天城さんが言う。私はちょっと目を瞬いてから頷いた。
「なにが食べたい?」
こころなしか優しい口調で尋ねられる。葉山、葉山かあ。
知識としては知っているけれど、実際に訪れたことはない。家族旅行なんかする一家じゃないし、仮にしていたとしても私は置いていかれたはずだ。お義母さんと愛菜さんはしょっちゅう旅行しているみたいだけれど……。
「お恥ずかしながら、私、葉山の名物やなんかを知らなくて」
「……和洋中その他なら」
「あの、天城さんは」
こんなことになるとわかっていたら、おそらく「高尾家の家格」のためにふさわしい服装を用意されていたのだろうけれど……なにしろ、急だ。
葉山に行くと聞かされても、お出かけどころか学校行事以外で遠出したことのない私は戸惑ってしまう。
昨日の天城さんについて考える。
シンプルだけど人目を引く彼の横にいてもおかしくないだろう服装について四苦八苦しながらコーディネートする。
結局黒のⅤネックのロングワンピースにした。
七分丈で肌が見えるから、黒でもそこまで重くならない。
メイクはいつも通り……のはずなのに、細かくアイラインを引き直してしまうのはなぜだろう。チークをいれる位置を迷うのはどうして。
鏡の中の自分を見つめる。あんなにこだわったのに、出来上がったのはいつも通りの自分だった。つい笑ってしまう。
家を出て、昨日送ってもらった公園まで向かう。
ここで待ち合わせしようと昨日決めておいたのだ。葉山まで行くのに横浜まで来てもらうと遠回りだから、横須賀まで行きますと言ったのだけれど、断られた。
公園が見えてくる。すでに天城さんの車は道路の端に止まっていたため、いそいで駆け寄った。
「す、すみませんお待たせしました」
「いや、俺が早く来すぎた」
そう言う彼の横、昨日も乗った助手席に座る。天城さんはシンプルなカットソーに濃いジーンズを合わせていた。
彼がちらっとこちらを気にするそぶりを見せたので、急いでシートベルトをしめる。
天城さんはじっとそれを見ていた。
やっぱりなんか、観察されている気分。
天城さんが車を発進させる。横浜から葉山までは一時間ほどだろうと思う。
しばらく無言の空間が続く。
住宅街を抜け、車は高速道路に向かっていた。
「葉山に着いたら、まずは昼食をと思っているんだが」
唐突なかんじで天城さんが言う。私はちょっと目を瞬いてから頷いた。
「なにが食べたい?」
こころなしか優しい口調で尋ねられる。葉山、葉山かあ。
知識としては知っているけれど、実際に訪れたことはない。家族旅行なんかする一家じゃないし、仮にしていたとしても私は置いていかれたはずだ。お義母さんと愛菜さんはしょっちゅう旅行しているみたいだけれど……。
「お恥ずかしながら、私、葉山の名物やなんかを知らなくて」
「……和洋中その他なら」
「あの、天城さんは」