クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 ぽつぽつと会話をしながら、天城さんのおすすめや私が食べたいものを中心にアラカルトでオーダーした。伊勢海老の香草焼きは、お腹までたっぷりと香草が詰められていて、あまりにもおいしくて目を丸くした。

 そんな私を見て、天城さんがこっそりと頬を緩めたのは……私の見間違い? 一瞬すぎて、目の錯覚だったかもしれない。

 食後の紅茶まで楽しんだあと、天城さんは「君さえよければ」と小さく言った。小首を傾げた私に、彼は続ける。

「いつか……結婚して落ち着いたら、このホテルに泊まらないか」
「え、あ、はい」

 ぽかんと頷くと、微かに天城さんが肩から力を抜いたのがわかった。

 再び車に乗り、山方面に二十分ほど車を走らせると、例のチャペルが見えてきた。四方を木々に囲まれた、瀟洒な木造のこじんまりとした教会だ。

 さっきまで結婚式が執り行われていたのか、大きな観音扉には上品な白のリボンがかかったリースが飾ってある。教会のさらに奥に、近代的なガラスをふんだんに使った白い建物が見えた。おそらくあちらは披露宴会場なのだろう。
 さらにその向こうには紺碧の海が見えた。

 駐車場に車を止めると、スタッフさんがやってきてくれた。車を降りて挨拶をする。

「どうぞ、こちらです」

 案内され、天城さんが扉を開く。私はその横で感嘆の声が自然と零れた。タブレットやパンフレットの写真より一層、美しく輝いて見えた。

 壁に嵌まったガラスは全てステンドグラス。
 海のようなブルーを基調としたそれは、全て聖母マリアの受胎告知をモチーフにしているようだった。
 祭壇に続くバージンロードに、そのカラフルな影が落ちている。
 天井には温かな色のシャンデリアが輝いて、木で作られている重厚な十字架を柔らかく照らしていた。

「さきほどまで式をしておりまして」

 スタッフさんの説明に、やはりそうだったのかと頷く。教会じゅうにかざられた白百合がかぐわしい香りを放っている。ふと天城さんを見上げると、柔らかな視線と目が合う。

 こんな目もするんだ。

 目を瞬き……しばらく見つめ合うみたいになってしまう。ハッとして目を逸らした私を、天城さんは探るように見ていた。つい頬を緩めて彼を見上げた。

「すてきです、ここ」
「そうか」
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