クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
けれど海雪は「じゃあ柊梧さんがすごいんですね」とさらりと笑って歩きだす。
ホテルやショッピング施設を抜けるように路地を歩き、少し海沿いに行けば目的のビーチが見えてきた。
途中で買ったミネラルウォーターのペットボトルを片手に砂浜を歩き、ちょうど良さそうなヤシの木陰を見つけて並んで座った。
「わあ、おいしそう」
テイクアウト用の白い容器に入ったポキ丼の蓋を開き、海雪が弾んだ声を上げる。なんて素直でかわいい。
一方俺は、どのタイミングで「タコも食べてみるか?」といえばいいのか悶々と悩んでいた。
そもそも海雪は食べたいのか?
タコを?
高尾から海雪は好き嫌いはないと聞いてはいるが、育ってきた環境が環境だ、正直に苦手だと言えなかっただけかもしれない……とさんざん悩んだ挙句に出たのが「タコは好きか」だった。
言ってから後悔する。唐突すぎるだろ。
海雪は目を瞬いたあと、俺の意図をさっと察してくれた。
「好きです。マグロとおんなじくらい」
「……もし、食べたいのなら」
「嬉しいです。ありがとうございます」
海雪の綺麗で大きな目は、笑うと三日月みたいな優しい曲線を描く。ざあ、と海風が吹いてヤシの葉を揺らす。木漏れ日がちらちらと動いて、ふと感情がまた重くなる。好きが降り積もる――愛おしさっていうのは、際限がないんだな。
そんなことに気が付きつつ、気が付けば海雪と容器を交換していた。海雪はぱくっとタコを白米ごと食べ、三日月だった目を満月にして俺を見る。
「おいしい」
「そうか」
ホッとしつつ答える。さっきまで緊張で味さえわからなかった。俺もマグロを食べて素直に「うまい」と口にできた。海雪に対しても普段からこれくらい素直になれたらいいのにな。
食べ終わってから近くのごみ箱に容器を捨てる。ハワイは、というかこういった観光ゾーンにはごみ箱が多い。ポイ捨て防止のためだろうな……とすこし現実逃避しているのは、とにかく冷静になるためだ。食欲が満たされた海雪は、さっきまで以上に俺にニコニコと話しかけてくれている。
かわいすぎて苦しい。ぎゅうっと抱きしめたくなる。
「それで、その猫コトラって名前なんですけど、結局ツヨシくん……あ、幼なじみなんですけどね、その人が引き取ってくれて」
俺は無言で、しかし確かに海雪から発された明確な男性名に勝手に眉が寄るのを覚えた。サングラスをしていてよかった。
ホテルやショッピング施設を抜けるように路地を歩き、少し海沿いに行けば目的のビーチが見えてきた。
途中で買ったミネラルウォーターのペットボトルを片手に砂浜を歩き、ちょうど良さそうなヤシの木陰を見つけて並んで座った。
「わあ、おいしそう」
テイクアウト用の白い容器に入ったポキ丼の蓋を開き、海雪が弾んだ声を上げる。なんて素直でかわいい。
一方俺は、どのタイミングで「タコも食べてみるか?」といえばいいのか悶々と悩んでいた。
そもそも海雪は食べたいのか?
タコを?
高尾から海雪は好き嫌いはないと聞いてはいるが、育ってきた環境が環境だ、正直に苦手だと言えなかっただけかもしれない……とさんざん悩んだ挙句に出たのが「タコは好きか」だった。
言ってから後悔する。唐突すぎるだろ。
海雪は目を瞬いたあと、俺の意図をさっと察してくれた。
「好きです。マグロとおんなじくらい」
「……もし、食べたいのなら」
「嬉しいです。ありがとうございます」
海雪の綺麗で大きな目は、笑うと三日月みたいな優しい曲線を描く。ざあ、と海風が吹いてヤシの葉を揺らす。木漏れ日がちらちらと動いて、ふと感情がまた重くなる。好きが降り積もる――愛おしさっていうのは、際限がないんだな。
そんなことに気が付きつつ、気が付けば海雪と容器を交換していた。海雪はぱくっとタコを白米ごと食べ、三日月だった目を満月にして俺を見る。
「おいしい」
「そうか」
ホッとしつつ答える。さっきまで緊張で味さえわからなかった。俺もマグロを食べて素直に「うまい」と口にできた。海雪に対しても普段からこれくらい素直になれたらいいのにな。
食べ終わってから近くのごみ箱に容器を捨てる。ハワイは、というかこういった観光ゾーンにはごみ箱が多い。ポイ捨て防止のためだろうな……とすこし現実逃避しているのは、とにかく冷静になるためだ。食欲が満たされた海雪は、さっきまで以上に俺にニコニコと話しかけてくれている。
かわいすぎて苦しい。ぎゅうっと抱きしめたくなる。
「それで、その猫コトラって名前なんですけど、結局ツヨシくん……あ、幼なじみなんですけどね、その人が引き取ってくれて」
俺は無言で、しかし確かに海雪から発された明確な男性名に勝手に眉が寄るのを覚えた。サングラスをしていてよかった。