クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
そう言ってはにかむ海雪の頬は、楽しげに緩んでいる。おそらく免許を取り立ててで、右ハンドル自体にも慣れていなかったのも良かったのだろう。すぐに初心者とは思えない雰囲気で楽しげにドライブを楽しみだした。交通量も多くない。
やがて緩やかなカーブを曲がった先で、海雪は目を丸くした。紺碧の海が眼前に大きく広がる。
ぶわりと吹いた潮風が、海雪の髪をなびかせた。海雪のかおりがする。
海雪は──海雪が、笑った。
俺は心臓が突かれたかのように動けない。
微笑みなんかじゃない、声を上げて海雪が笑ったから。
大きな声で、腹の底から楽しげに彼女が笑った。
「あはは! すっごく楽しいです! 海もきれい……!」
俺はなんだか泣きそうになる。海雪が安心して無邪気に笑うことのできる場所になれたのかと思うと、それだけで生きてきた甲斐があると思った。
それを伝えたいのに、俺から出てくれた言葉は「やっぱり運転うまいな」だけだった。
「わあ、ありがとうございます」
世辞だと思っているのがわかる。でもそれでも嬉しいと思ってくれているのもわかる。もっと伝えたいことはたくさんあるのに、感情が言葉になってくれない。ただ雪みたいに降り積もる。
展望台でココナツジュースを買った。海雪が興味津々に見ていたのだ。買うに決まってる。ココナツの実に穴を開けストローを突っ込んだやつだ。ベンチに並んで座って、大海原を見ながらそれを飲むことにした。ストローがなんというか、飲み口が途中でふたまたに別れた仕様のものだ。いわゆるカップルストローというやつだった。
店員に勝手にそうされたのだ。ハイビスカスまで飾ってある。
海雪がまたはしゃいだ声で笑う。弾けるような笑顔だと思う。
「本当にあるんですね、これ」
嬉しげにハイビスカスをつつく海雪にスマホのカメラを向けた。海雪が目を丸くする。
「撮ってどうするんですか?」
きょとんと首を傾げた。
いままで生きていて、こんなふうに誰かの写真を撮ろうと思ったことはなかった。ただ今は海雪のこの楽しげな瞬間を残しておきたいと思った。
いつかこの写真を見たきみが「楽しかったね」と俺に微笑んでくれたら……そう思って。
「……高尾に送る」
でもそう言えなくて言い訳を口にした。照れたのだ、単純に。
「雄也さんに?」
やがて緩やかなカーブを曲がった先で、海雪は目を丸くした。紺碧の海が眼前に大きく広がる。
ぶわりと吹いた潮風が、海雪の髪をなびかせた。海雪のかおりがする。
海雪は──海雪が、笑った。
俺は心臓が突かれたかのように動けない。
微笑みなんかじゃない、声を上げて海雪が笑ったから。
大きな声で、腹の底から楽しげに彼女が笑った。
「あはは! すっごく楽しいです! 海もきれい……!」
俺はなんだか泣きそうになる。海雪が安心して無邪気に笑うことのできる場所になれたのかと思うと、それだけで生きてきた甲斐があると思った。
それを伝えたいのに、俺から出てくれた言葉は「やっぱり運転うまいな」だけだった。
「わあ、ありがとうございます」
世辞だと思っているのがわかる。でもそれでも嬉しいと思ってくれているのもわかる。もっと伝えたいことはたくさんあるのに、感情が言葉になってくれない。ただ雪みたいに降り積もる。
展望台でココナツジュースを買った。海雪が興味津々に見ていたのだ。買うに決まってる。ココナツの実に穴を開けストローを突っ込んだやつだ。ベンチに並んで座って、大海原を見ながらそれを飲むことにした。ストローがなんというか、飲み口が途中でふたまたに別れた仕様のものだ。いわゆるカップルストローというやつだった。
店員に勝手にそうされたのだ。ハイビスカスまで飾ってある。
海雪がまたはしゃいだ声で笑う。弾けるような笑顔だと思う。
「本当にあるんですね、これ」
嬉しげにハイビスカスをつつく海雪にスマホのカメラを向けた。海雪が目を丸くする。
「撮ってどうするんですか?」
きょとんと首を傾げた。
いままで生きていて、こんなふうに誰かの写真を撮ろうと思ったことはなかった。ただ今は海雪のこの楽しげな瞬間を残しておきたいと思った。
いつかこの写真を見たきみが「楽しかったね」と俺に微笑んでくれたら……そう思って。
「……高尾に送る」
でもそう言えなくて言い訳を口にした。照れたのだ、単純に。
「雄也さんに?」