クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
 不思議そうにしながらも、ぎこちなくピースをした海雪は微笑んで写真に収まる。かわいい。そのまま壁紙に設定した。

「柊梧さんも撮っていいですか?」

 海雪は思い切ったように顔を上げた。俺は目を丸くする。

「俺の写真なんかどうするんだ」
「いえ……その」

 海雪はココナツで少し顔を隠すようにしながらつぶやく。照れているのか、白い頬が微かに血の色を透かす。

「柊梧さんの写真、欲しいなって」
「好きなだけ撮れ」

 撮ってくれ。百枚でも千枚でも撮るといい。なんでそんなかわいい言い方するんだ。

「いいんですか」
「減るものじゃない」

 海雪からココナツを受け取る。ココナツジュースを持ち緊張から仏頂面だろう俺を何枚も写真におさめ、海雪はにっこりと笑う。

 ああかわいい。

 内心ではもうデレデレというかメロメロというか、もはや心臓がトロトロに蕩けているのになぜ顔に出てくれないんだ? 俺の表情筋はどうかしている。
 なんで素直になれないんだ俺。好きすぎてわけがわからない。

「これ、先に飲みます?」

 ココナツジュースを示して海雪が言う。俺は軽く眉を上げた。

「いや、君から……」

 言いかけてふと思う。なんというか、ベタな新婚的行為をしてみたい。

「一緒に飲もう」
「……え?」

 海雪がポカンとする。なんでこんな表情ですらかわいいのだろう。

「そのほうが効率的だろう」
「効率的……あはは、確かに!」

 海雪がまた笑う。なにが面白かったのかわからないけれど、彼女が楽しげならそれでいいと思う。

「そもそも、君だけが普通に吸っても液体は上がってこない」
「そうなんですか?」
「こっちの飲み口から空気が入るから空気圧が変わらないだろう。勢いよく飲めばいけるだろうが」
「そんな勢いでココナツジュース飲みたくないです」

 ふふ、ふふふふ、となにがツボだったのか海雪が肩を細かく揺らす。笑うのを我慢して目の端に涙まで浮かんでいる。なんだこれかわいいぞ。

「しゅ、柊梧さんって案外天然ですよね」
「初めて言われた」
「そうですか?」

 海雪はそう言って俺にくっつく。俺がココナツを持っているからだ。すぐそばに愛おしい女性の体温を感じて勝手に体温が上がる気さえする。
 海雪はそうしてストローに唇を寄せて俺を見る──どうしたって上目遣いになる、そんな状況で海雪が弾んだ声で言う。

「じゃあ、せーので吸いましょうね」
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