クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
わかった、と目で頷いた。心臓が爆発しそうだ。
「せえの」
同時にストローを吸う。口に甘いココナツの味が広がる。……口を外すタイミングがわからない。ちらっと海雪に目をやると、海雪も同時に俺を見て、そうしてぱっと唇を離す。顔どころか首まで赤い。
恥ずかしかったらしい。きゅんとした。さらりと髪が爽やかな海風に揺れた。
反射的に髪を耳にかけてやると、海雪は目を細める。懐いてきた猫のような仕草にたまらなく抱きしめたくなる。ぐっと我慢した。
せっかく心が寄り添って来始めてくれているのに、怯えさせてしまったら元も子もない。
帰りは俺がハンドルを握った。助手席で海雪は潮風に目を細めやっぱり楽しそうにしてくれていた。
夕食は早めに準備することにした。ドライブのあと、地元の市場で色々と買い付けてきておいたのだ。なじみのある食材から、日本では見慣れないものまで。
ふたりで別荘のキッチンに並んで一緒に作る。窓からは水平線に沈む橙色の太陽が眺められる。
「エビ、新鮮ですねえ」
下処理をしながら言う海雪を見下ろし「ん」と答えながら幸福を噛み締める。俺はスープの準備をしながらこっそりと海雪の観察をする。細く白い指が丁寧に背ワタを取る。爪はきちんと切りそろえられている。その作業をする黒目がちの瞳は大きく印象的で、見つめれば吸い込まれそうになる。開放的な窓から差し込む夕日がその目を潤ませて見せていた。優しい目元には微かに笑みが浮かんでいて、いまを楽しんでくれているとわかった。それが誇らしくてたまらない。
「いいにおいです」
ふ、と海雪が俺を見上げて笑った。一瞬なんのことかわからず戸惑う――それくらい、海雪に集中していしまっていた。手元では作業を淡々と続けていたようだけれど。
「ああ」
俺は手元に目を戻す。オックステールスープを作っている最中なのだった。
牛の尾をほろほろになるまで煮込んだハワイの伝統料理だ。作る、といっても煮るのに時間がかかるため、市場で買い求めてきたものに仕上げだけするようなイメージだ。シイタケや野菜のダシでじっくり煮込まれたオックステールスープに、仕上げとしてチンゲンサイをたっぷり加える。あとは食べるときにパクチーとショウガ醤油を添えるだけだ。
「うまそうだな」
「あんまり食べたことないです、テール」
「俺も初めてかもしれない」
「せえの」
同時にストローを吸う。口に甘いココナツの味が広がる。……口を外すタイミングがわからない。ちらっと海雪に目をやると、海雪も同時に俺を見て、そうしてぱっと唇を離す。顔どころか首まで赤い。
恥ずかしかったらしい。きゅんとした。さらりと髪が爽やかな海風に揺れた。
反射的に髪を耳にかけてやると、海雪は目を細める。懐いてきた猫のような仕草にたまらなく抱きしめたくなる。ぐっと我慢した。
せっかく心が寄り添って来始めてくれているのに、怯えさせてしまったら元も子もない。
帰りは俺がハンドルを握った。助手席で海雪は潮風に目を細めやっぱり楽しそうにしてくれていた。
夕食は早めに準備することにした。ドライブのあと、地元の市場で色々と買い付けてきておいたのだ。なじみのある食材から、日本では見慣れないものまで。
ふたりで別荘のキッチンに並んで一緒に作る。窓からは水平線に沈む橙色の太陽が眺められる。
「エビ、新鮮ですねえ」
下処理をしながら言う海雪を見下ろし「ん」と答えながら幸福を噛み締める。俺はスープの準備をしながらこっそりと海雪の観察をする。細く白い指が丁寧に背ワタを取る。爪はきちんと切りそろえられている。その作業をする黒目がちの瞳は大きく印象的で、見つめれば吸い込まれそうになる。開放的な窓から差し込む夕日がその目を潤ませて見せていた。優しい目元には微かに笑みが浮かんでいて、いまを楽しんでくれているとわかった。それが誇らしくてたまらない。
「いいにおいです」
ふ、と海雪が俺を見上げて笑った。一瞬なんのことかわからず戸惑う――それくらい、海雪に集中していしまっていた。手元では作業を淡々と続けていたようだけれど。
「ああ」
俺は手元に目を戻す。オックステールスープを作っている最中なのだった。
牛の尾をほろほろになるまで煮込んだハワイの伝統料理だ。作る、といっても煮るのに時間がかかるため、市場で買い求めてきたものに仕上げだけするようなイメージだ。シイタケや野菜のダシでじっくり煮込まれたオックステールスープに、仕上げとしてチンゲンサイをたっぷり加える。あとは食べるときにパクチーとショウガ醤油を添えるだけだ。
「うまそうだな」
「あんまり食べたことないです、テール」
「俺も初めてかもしれない」