クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
「病院に着いてすぐに、高尾から連絡が来た。母親と妹が暴走したから、海雪のところへ戻ってくれと」
「暴走って……」
さっきのことだろう。柊梧さんの妻には自分がなる、と言い切った愛菜さん。私に柊梧さんはふさわしくないから、自分が代わってあげると……。
柊梧さんは迷惑そうに前髪をかきあげた。
「なにをどう考えたか、思考回路が俺とは違いすぎて理解はできないのだけれど、高尾愛菜は俺と結婚したいと思い始めたらしい。それで君と交代するなんてふざけたことを言い出した……と、高尾が泡を食って連絡を寄越して。全力で戻ってきたんだが、遅くなった」
そう言って、なにも悪くないのに彼は謝る。
「すまなかった。不安だっただろ」
「……、っ」
あなたは悪くない、謝らないでといいたいのに口が動いてくれない。代わりにできたのは、頼れる夫にただしがみつくことくらいだ。
「海雪、愛してる……」
宥めるように彼はなんどもそう繰り返す。安堵しすぎた私は、ぽろぽろと泣き出してしまう。
「大丈夫、大丈夫だ海雪」
そう言ってから少し遠慮がちに彼は続けた。
「君さえよければ、早めに引っ越そうと思う」
引っ越し?
「どういう……」
「役所には手を回して、勝手に届けなんかは出されないようにしていたが……この家を知られてしまった。引っ越しをして、もう高尾家とは縁を切ってくれないか?」
「え……?」
私は泣いているのも忘れ、ぼうぜんと瞬きをした。高尾の家と、縁を切る? でも、そんなことをすれば、柊梧さんは……実家から自由になるために「高尾家の娘」である私と結婚したはず。
これは、そういう約束のもとに結ばれた結婚。私が役に立てないのならば、彼は私と婚姻を続ける意味がない。高尾家の娘でなければ、私は彼にとってなんの価値もないはずなのだ。なのに、縁を切る?
混乱し続ける私に、柊梧さんは口を開く。
「君はもう高尾海雪じゃない。天城海雪なんだ」
涙でぐしゃぐしゃだろう顔のまま首を傾げると、柊梧さんは優しく目元を緩め、私の頬を撫でてくれる。
「もう、高尾の家のためだとかなんだとか、そんなことを考えるのはやめてくれ」
「で……も、柊梧さんの立場は……」
「そのあたりはうまくやっているから心配するな」
私はひゅうっと息を吸う。
「暴走って……」
さっきのことだろう。柊梧さんの妻には自分がなる、と言い切った愛菜さん。私に柊梧さんはふさわしくないから、自分が代わってあげると……。
柊梧さんは迷惑そうに前髪をかきあげた。
「なにをどう考えたか、思考回路が俺とは違いすぎて理解はできないのだけれど、高尾愛菜は俺と結婚したいと思い始めたらしい。それで君と交代するなんてふざけたことを言い出した……と、高尾が泡を食って連絡を寄越して。全力で戻ってきたんだが、遅くなった」
そう言って、なにも悪くないのに彼は謝る。
「すまなかった。不安だっただろ」
「……、っ」
あなたは悪くない、謝らないでといいたいのに口が動いてくれない。代わりにできたのは、頼れる夫にただしがみつくことくらいだ。
「海雪、愛してる……」
宥めるように彼はなんどもそう繰り返す。安堵しすぎた私は、ぽろぽろと泣き出してしまう。
「大丈夫、大丈夫だ海雪」
そう言ってから少し遠慮がちに彼は続けた。
「君さえよければ、早めに引っ越そうと思う」
引っ越し?
「どういう……」
「役所には手を回して、勝手に届けなんかは出されないようにしていたが……この家を知られてしまった。引っ越しをして、もう高尾家とは縁を切ってくれないか?」
「え……?」
私は泣いているのも忘れ、ぼうぜんと瞬きをした。高尾の家と、縁を切る? でも、そんなことをすれば、柊梧さんは……実家から自由になるために「高尾家の娘」である私と結婚したはず。
これは、そういう約束のもとに結ばれた結婚。私が役に立てないのならば、彼は私と婚姻を続ける意味がない。高尾家の娘でなければ、私は彼にとってなんの価値もないはずなのだ。なのに、縁を切る?
混乱し続ける私に、柊梧さんは口を開く。
「君はもう高尾海雪じゃない。天城海雪なんだ」
涙でぐしゃぐしゃだろう顔のまま首を傾げると、柊梧さんは優しく目元を緩め、私の頬を撫でてくれる。
「もう、高尾の家のためだとかなんだとか、そんなことを考えるのはやめてくれ」
「で……も、柊梧さんの立場は……」
「そのあたりはうまくやっているから心配するな」
私はひゅうっと息を吸う。