クールな海上自衛官は想い続けた政略妻へ激愛を放つ
『あたし見ていたのよ! このふたりが、庭から無理やりにミユキの家に侵入したの』
夫人が高尾夫人と愛菜を指さす。警官は頷き「なにをしているのですか」とやや語気を強めてふたりに近づいた。
「無理やりこの家に立ち入ったと通報がありましたが」
「なにを! あたしはこの女の母親よ」
きいきいわめく高尾夫人の言葉に、警官が「母親?」と一瞬眉を開く。
「そうよ」
『そんなはずないわ! あんなに威圧的にヒステリックに騒いで押し入ったくせに』
フォックス夫人と高尾夫人がにらみ合う。フォックス夫人はともかく、高尾夫人の方は相手が何を言っているかまでは聞き取れていないようだったけれど……と、無線で指示を受けたらしい警官が庭から「とりあえず署まで同行してもらおう」と大きな声で言う。
米軍の高官の家族であるフォックス夫人の通報を拒否すると、あとで政治的な問題になるのではという彼らの上司の判断だろう。
「ちょ、ちょっと、放しなさい」
「やめて! あたしを誰だかわかっているの? 高尾病院のご令嬢なんだから」
「はいはい、わかりました」
警官たちにいなされつつ、二人は窓から引きずり出される。入れ替わるように入ってきた女性警察官に促され、かいつまんで事情を説明した。
落ち着いたころには、すっかり日が暮れていた。
フォックス夫人が米国製のやけに音がうるさい強力な掃除機やらなんやらを持ち込んで、リビングの掃除を率先してくれた。手伝おうとする海雪をなだめすかせてソファに座らせる手腕は見習いたい。
「タイミングがよかった。基地から出た瞬間に高尾から連絡が来て」
夫人が帰宅したあと、海雪と並んでソファに座り、その細い手を握ったまま説明する。ローテーブルを挟んで向かいのソファには高尾がうなだれたまま肩を落としている。
「そう、だったんですか」
海雪はまだどこか呆然としていた。が、ふと眉を下げて言う。
「あの、お義母さんと愛菜さんは……」
「そろそろ釈放されているころじゃないか」
そう答えると、海雪はホッとした表情を浮かべる。それに対して、高尾が下を向いたまま「ごめんね」と語尾を涙でにじませた。
「怖かったよね。それにも関わらず、あのふたりの心配だなんて」
海雪が微かに首を振る。
「柊梧さんが守ってくださいましたから」
「海雪は」
すうっと息を吐き、高尾は続けた。
夫人が高尾夫人と愛菜を指さす。警官は頷き「なにをしているのですか」とやや語気を強めてふたりに近づいた。
「無理やりこの家に立ち入ったと通報がありましたが」
「なにを! あたしはこの女の母親よ」
きいきいわめく高尾夫人の言葉に、警官が「母親?」と一瞬眉を開く。
「そうよ」
『そんなはずないわ! あんなに威圧的にヒステリックに騒いで押し入ったくせに』
フォックス夫人と高尾夫人がにらみ合う。フォックス夫人はともかく、高尾夫人の方は相手が何を言っているかまでは聞き取れていないようだったけれど……と、無線で指示を受けたらしい警官が庭から「とりあえず署まで同行してもらおう」と大きな声で言う。
米軍の高官の家族であるフォックス夫人の通報を拒否すると、あとで政治的な問題になるのではという彼らの上司の判断だろう。
「ちょ、ちょっと、放しなさい」
「やめて! あたしを誰だかわかっているの? 高尾病院のご令嬢なんだから」
「はいはい、わかりました」
警官たちにいなされつつ、二人は窓から引きずり出される。入れ替わるように入ってきた女性警察官に促され、かいつまんで事情を説明した。
落ち着いたころには、すっかり日が暮れていた。
フォックス夫人が米国製のやけに音がうるさい強力な掃除機やらなんやらを持ち込んで、リビングの掃除を率先してくれた。手伝おうとする海雪をなだめすかせてソファに座らせる手腕は見習いたい。
「タイミングがよかった。基地から出た瞬間に高尾から連絡が来て」
夫人が帰宅したあと、海雪と並んでソファに座り、その細い手を握ったまま説明する。ローテーブルを挟んで向かいのソファには高尾がうなだれたまま肩を落としている。
「そう、だったんですか」
海雪はまだどこか呆然としていた。が、ふと眉を下げて言う。
「あの、お義母さんと愛菜さんは……」
「そろそろ釈放されているころじゃないか」
そう答えると、海雪はホッとした表情を浮かべる。それに対して、高尾が下を向いたまま「ごめんね」と語尾を涙でにじませた。
「怖かったよね。それにも関わらず、あのふたりの心配だなんて」
海雪が微かに首を振る。
「柊梧さんが守ってくださいましたから」
「海雪は」
すうっと息を吐き、高尾は続けた。