噛んで、DESIRE
性懲りもなく……吾妻くんがわたしにべったりとくっ付いてそんなことを言うものだから。
「あ、吾妻……っ、おま、ちゃん付け?!」
「ちょっと杏莉にスキンシップ激しくない?! 吾妻くん!」
一瞬フリーズした三原くんと澪子が叫び、教室中が騒然としたのは言うまでもなく。
……これが、家からまだマシだった。
それなのに、ここは学校。
わたしたちが同居生活をしているのを知らない人たちしかいない。
それなのに、……吾妻くんという人は、わけのわからない行動ばかりで困らせてくる。
……ああ、もう。
それなのに、わたしは、巻き付いている腕に意識してドキドキしてしまうのだから、お互い様だ。
……家に帰ったら問い詰めるからね、吾妻くん。
そう思ったわたしの言いたいことに気付いたのかもしれない。
────にっと微笑んでいる彼は、悪魔のように綺麗だった。