好きだなんて、【完】

で、しずくはどうなった?



もう間に合わない状況なのか?




頭が真っ白になって、込み上げる涙と、後悔




どうでもいい、もう。




しずくがいないなら、意味ない。




「しずくはどこなんだよっ、」



「ちょっと、凪、待って!」



ベットから立ち上がって個室の病室を出て行こうとする俺を必死に止めようと腕を掴むつらら



「なんで…なんで、しずくがっ、いないんだよ」




「まだ検査とかあるからベットから立ち上がらないほうがいいって!」




つららの言葉も耳に届かず、すり抜けていく



『兄貴っ!』なんて叫ぶ風季の声もどこか頭をこだまするだけ。



たかが数秒で世界は一気に色を失って、涙で全てが滲んだ




こんなのっ、ありえねぇよ。




しずくにはもう会えない?




控えめに笑ってくれることも、一生懸命話しかけてくれることも、無くなるのか?

< 153 / 161 >

この作品をシェア

pagetop