好きだなんて、【完】
そういえば最後まで話聞いてなかったような…
紛らわしいんだよ、ならあんな顔すんなよ。
誰で助からなかったって思うだろ。
でも、
「生きてて良かった…っ、」
しずくを確かめたくて思わず抱きしめた。
ふんわり香るせっけんの香りと、艶やかな黒い髪、華奢な背中に手を回した。
よかった、もう離したくない
「な、凪くん、さっき話って本当?」
耳元で聞こえる声にハッとした。
「…どこから聞いてたの。」
「ぜ、全部かな?」
「あー…」
全部ってことは、間接的に告白したのと一緒じゃん。
社長もいるし、風季だっている。
なおさら伝えるわけにはいかない…
言い訳、探さないと。
このまま伝えられたら、いいのに。
「凪、もういい」
ずっと黙って見ていた社長が眉を下げて弱く笑った。
もういいって、どういうことだ