幼なじみの不器用な愛し方
「男として見れないとか言われてたら、めちゃくちゃ凹んでました。……でも、そうじゃないみたいだから、こんな状況だけど嬉しかった」


眉尻を下げて、目を細めて。なんて優しく笑う人なんだろう。


谷瀬くんとお付き合いできたら、とっても幸せだったと思う。

ひだまりの下で大切にしてもらって、わたしも大切にして、穏やかで心地よくて。

そういう恋愛の形も、きっとある。


だけどわたしは知ってしまった。

自分の中に、あんなにも強烈な感情があったこと。

今のわたしには、あの痛みこそが恋の証明だった。


「正直、めちゃくちゃ悔しいです。美月先輩の隣にいるのはおれがよかった。おれが、美月先輩を笑わせたかった」

「谷瀬くん……」

「でも、美月先輩のことだから、たくさん考えてくれたんでしょう?」

「うん。答えを出してからも……いっぱい考えたよ」


谷瀬くんの優しさや明るさに何度も救われてきた。

谷瀬くんのことだけを考えた時間もたくさんあった。

わたしにとって、谷瀬くんがかけがえのない存在であることに変わりはない。


「谷瀬くんがいてくれたから今のわたしがいる。感謝してもしきれないよ」
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