幼なじみの不器用な愛し方
「その人にはたくさんの気持ちをもらったから……伝える時に、ちょっと、泣いちゃって」

「……ちゃんと話せたのか?」


不機嫌になるかと思いきや、有斗の声色は落ち着いていた。わたしは静かに顎を引く。


「うん。ありがとうって、ちゃんと言えたよ」


わたしの言葉を聞いて有斗はほっとしたように頬を緩めた。

それから、大きな手でわたしの後頭部を撫でてくれる。

あったかくて、心地よくて、落ち着くなぁ……。


「……そうだ! その人から伝言預かってるの」

「伝言?」

「うん。わたしを泣かせたら、奪いにくるってさっ」


泣いちゃったことを誤魔化すように、あえて軽い口調で伝えた……んだけど。


「やっぱいい度胸してんな、あの1年……」


低く呟いた有斗の口角は、不敵に引き上げられていた。

それに、誰からの言葉かは濁したのに、1年って言ってるし……!

まずい、と慌てて他の話題を探そうとして、こちらも解決しないといけないことがあるのを思い出す。


「あの……わたしも聞きたかったんだけど」

「何?」


眉根を寄せながらも、訊ね返された声音は柔らかい。
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