幼なじみの不器用な愛し方
わたしの言葉に耳を傾けてくれていることが伝わるから、わたしも勇気を出せるの。


「昨日電話してた、上原って人……誰?」


わたしの問いかけを受けて、有斗が目を丸くした。

それから、あぁ、と合点がいったように小さく頷く。


「聞いてたのか」

「……ごめん、聞こえちゃって」

「だから昨日、美月以外のやつがどうとかって言ってたんだな」

「う、疑ってるわけじゃないんだよ! でも……離れてた分、どうしても気になっちゃって」

「そーだよな。俺も意地張ってお前のこと避けてたしな。ごめんな」


有斗の指がわたしの髪を慈しむように梳く。


「昨日電話してたのは……一緒に祭りに行った、同じ学校の上原だ」

「……うん」


わかってたけど、胸がツキンと痛む。

やっぱり、メグちゃんだったんだ……。

心の中に黒い靄が広がりかけたところで、有斗に肩を引き寄せられた。


「やましいことは何もねーよ」

「……日曜日の約束のことは?」


腕の中で有斗を見上げると、弱ったような目で見下される。
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