幼なじみの不器用な愛し方
「N大のオープンキャンパスだよ」

「オープンキャンパス……?」

「俺がN大受けたこと、噂で広まってたじゃん。

上原も本命の他にN大も受けようか迷ってたみたいで、おまえと話さなくなってすぐの頃、LIMEが来たんだ。

大学の雰囲気とか教えてほしいって」


祭りのとき、はぐれたとき用にと作ったトークグループがそのままになってたから、そこから有斗個人のアカウントに飛んだと説明があったらしい。

学校で話しかけると色々ややこしいから、直接訊ねるのではなくメッセージにしたことも。


「美月の友達なら変なやつでもないだろうと思って返信したんだ。

いつもの俺だったら無視してたけど……あのとき美月とはあんな状態で、参ってたのもあったんだと思う」

「……うん」

「文面とかから変な下心とかは感じなかったから、そこからたまに、ほんとにたまに……大学の情報をやりとりした。

俺が入試の時しか大学に行ってないって言ったら、大学の雰囲気知るために今度のオープンキャンパス行かないかって言われて……気分転換にいいかと思って、OKしたんだ」


有斗は一つひとつ、言葉を選びながら話してくれている。
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