幼なじみの不器用な愛し方
わたしの不安が消えていないことも、その不安の間接の原因が自分にあると思って言葉を飲み込んでいることも、有斗はわかっている。
「でも、今日朝イチで連絡して断ったから。俺の都合で悪いとは思ったけど、やっぱり美月以外のやつと出掛けるのは嫌だったし」
「め、メグちゃんはなんて……?」
「わかったって、それだけ。電話したのだって、昨日が初めてだよ」
お昼休みにメグちゃんに会ったときのことを思い出す。
いつも通り……だったな。
有斗に特別な感情を抱いていたとしたら、有斗に近しいわたしに予定がなくなった原因を見出しても不思議じゃない。
けど、彼女の様子は疑いようもなく普段と変わらなかった。
出会った頃から同じ、明るくて人懐っこいメグちゃんだった。
お祭りに一緒に行ったくらいだし、知らない間柄ではけしてない。
同級生として、同じ大学に通うかもしれない受験生として、有斗と関わりを持っただけなのかもしれない。
有斗が何もないと言うんだからそうなんだろう。わたしは有斗のことを信じるだけだ。
「そっか。変なこと聞いてごめんね。話してくれてありがとう」