幼なじみの不器用な愛し方
ひとしきり騒いだ後は作戦会議に移行して、わたし達が仲の良い幼なじみとして仲直りしたことを、朝一番に結子とツジが何食わぬ顔で周囲に知らせることになったのだった。


神崎有斗が幼なじみの女と仲直りしたらしいという噂は瞬く間に広まった。

有斗の周りを取り囲んでいた女の子達は瞬く間にいなくなり、わたしと有斗が一緒にいる日常が戻ってきた。




とはいえ、12月に入るとすぐにテスト期間に突入した。

数日の試験日を経て帰ってきたテストに赤点はなく、翌日からの補講期間はまるまる休みということになる。

一般入試組は受験勉強に充てるのだろうけれど、正直わたしは手持ち無沙汰だ。

時間を持て余して、午前中からクッキーを焼いていたわたしの元に、有斗がやってきた。

その髪にはまだ寝癖が残っていて、表情も心なしか険しい。どうしたの、とわたしは目を瞬かせる。


「来週の美月の誕生日、朝から仕事だって言われた……」


いつもだったら真っ先にクッキーに手を伸ばすところなのに、見向きすることなく奥歯を噛みしめるようにして有斗が言った。

有斗が出演していたドラマは、ちょうど今晩が最終回だ。
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