幼なじみの不器用な愛し方
「仕事なら仕方ないよ。気にしないで」


せっかく来たんだから食べてもらおうと、クッキングシートから粗熱のとれたクッキーをお皿に盛っていく。

ちょっといい紅茶も淹れちゃおっかな。お昼ご飯前だけどいいよね。

ポットにお水を入れてセットした時、リビングの扉の前に立っていた有斗がキッチンにやってきた。


「ごめんな」

「謝らないでよ。有斗の忙しさくらい、わたしだってわかってるつもりだよ」


お皿からクッキーを一つとって、しゅんとする有斗の口に押し込んでやる。

有斗は大人しくそれを食べた。

ついでに自分の口にも放り込むと、芳醇なバターの香りがふわりと広がって、ほろほろと溶けていく。我ながら上出来。


「他の人と遊びに行くとかだったら、さすがに悲しいけどさ。そうじゃないってわかってるし」

「……司や藤堂みたいに、誕生日当日に出掛けたりしたかった。せっかく、付き合って初めての誕生日なのに」


有斗が悔しそうに表情を歪める。


「俺はおまえのことを一番にしたいのに。うまくいかねー」
< 213 / 266 >

この作品をシェア

pagetop