幼なじみの不器用な愛し方
「今回受かったところが本命だったよな? 受験はもう終わり?」

「あ……ううん。まだ受けるつもりだから、もう少しかな。ひとまず春から大学生になれることは確定したけど」

「へぇ。どこ受けんの?」

「N大だよ。色々見てるうちに、やっぱりいいなぁって思って」


メグちゃんの口調はとても軽い。

今回受かった大学は、真由美ちゃんと一緒に受けたところだ。

お昼休み返上でテキストに向かっていた真由美ちゃんの背中が思い浮かぶ。


「もしN大だったら、これからも一緒だな。N大に知り合いもいねーし、上原がいたら俺としても心強いよ」


あ。と思った。

釣り糸を垂らした気配がして、固唾を飲む。


「……驚いちゃった」

「何が?」

「だって、神崎くんがそんなこと言うなんて思わないもん。そういうの全部、美月ちゃんの役割だと思ってた」


わたしの名前が出てきて、心拍数がまた上がる。

指先の血管までもがどくどくと音を立てている。


「まぁ、美月とはただの腐れ縁だから。春からは進路も違うし、それ以上のことはねーよ」


笑みを含んだ余裕のある声。
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